思想犯の保護に就て
検事 長部謹吾 著
1937(昭和12)年/司法省調査課 編/司法研究第21輯第10報告
4,500円  A5判(148×210ミリ)/448頁
著者は名古屋区裁判所検事で、司法研究第二部第11回研究員。本書は司法省調査課発行の『司法研究』第21集の第10報告書。 昭和12年3月発行で、「禁轉載」「秘」と表紙に印刷されている。当時は「転向の季節」といわれたように共産主義者の大量転向が発生した。 治安維持法とともに思想犯保護観察法が機能し、それは司法による思想統制にほかならなかった。 著者は思想検事として、国際比較も援用しながら左翼・右翼でもなく個人主義・自由主義でもない「真の日本主義」に立脚していると自負するが、使命感に裏打ちされた筆致自体が確信犯的な民族観・国家観の鼓吹を物語っている。
日本基督教婦人矯風會五十年史
守屋 東 編
1936(昭和11)年/日本基督教婦人矯風會(代表者・小崎千代子)発行
2,500円  四六判(128×188ミリ)/124頁
横井小楠の縁者である矢島楫子(かじこ)が創立した初期キリスト教の団体、婦人矯風會の明治~昭和初期の半世紀間の活動を回顧している。 同会は「真理と恩寵と真の自由」「男子も女子も神の子」という理念のもと、キリスト教布教のみならず明治期の禁酒運動・公娼廃止運動・婦人参政権運動を先導する役割を果たし、明治の近代社会化に足跡を遺した。 事務所は番町・赤坂溜池・赤坂新町・大久保百人町を経て、淀橋百人町の本部会館へと移転する。巻末に事蹟年譜を付す。定価30銭。
昭和十七年一月農業報國聯盟要覧
松尾武夫 編
1942(昭和17)年/農業報國聯盟(農林省内)発行
2,000円  四六判(128×188ミリ)/26頁
太平洋戦争下の非常時局の課題は食糧増産だった。この課題を果たすために農林省・各農林漁業団体を一元化すべく結成されたのが農業報国連盟。 その綱領・規約・役員名簿・事業計画概要などを要覧化した冊子。事業計画には「飼料肥料増産」「農業増産報国推進隊中央訓練」「同地方訓練」などがあり、その推進隊の規程も掲載している。 満蒙開拓青少年義勇軍・学生義勇軍も食糧増産に動員されている。当時の連盟総裁は井野碩哉農林大臣、理事長は石黒忠篤。非売品。
朗讀詩集 地理の書 他八篇
大政翼賛會文化部(代表者・日比野士郎)編
1942(昭和17)年/翼賛圖書刊行會(代表者・下中彌三郎)発行
2,000円  四六判(128×188ミリ)/48頁
戦中の昭和16年(1941)に大政翼賛会文化部が企図し、高村光太郎・島崎藤村・千家元麿・北原白秋・佐藤春夫・尾崎喜八・三好達治・草野心平らが詩を朗読。 タイトルの「地理の書」は光太郎の朗読した詩題。藤村の朗読詩は著名な「千曲川旅情の歌」。文化部長・岸田国士が巻末に「詩歌の朗読運動について」という一文を寄せている。 文化部は全国の家庭・職場・式場・集会での朗読を提唱し、指導者の派遣も行った。本書は翌昭和17年(1942)の再版の複製で、発行部数5万だった。定価10銭。
人の今昔
澤本江南 著
1912(大正元)年/時事新報 連載  開成社書店発行
3,000円  四六判(128×188ミリ)/316頁
澤本孟虎(江南)が『時事新報』に連載し、明治天皇大葬直後に上梓した著名人77名の消息録。 明治の政界・実業界・法曹界・宗教界・言論界・文化界にわたる。彼らの成功と転落を、洒脱でジャーナリスティックな一文に著して読者の関心を喚起しようとしたもの。 読者はこのうち何人を記憶しているか。取り上げられているのはたとえば次のような面々。林有造・大井憲太郎・石川舜台・押川方義・錦織剛清・河野主一郎・大江卓・景山英子・石橋忍月・巌本善治・横井時雄・金森通倫・横山源太郎……。 多くは社会から次第に遠ざかっていった人びとである。定価80銭。
明日の人たち 日産勞働者のたたかい
日産勞組委員長 益田哲夫 著
1954(昭和29)年/五月書房 発行
1,500円  四六判(128×188ミリ)/54頁
本書は、戦後労働運動史上「百日闘争」と呼ばれた著名な争議の中間総括であり、報告集でもある。 著者は、全日本自動車産業労働組合(全自)とその支部である日産労組のカリスマ指導者だった。 1953(昭和28)年の日産争議において、組合の賃金闘争の要求に対し会社側は全面拒否を打ち出し、「ノーワーク・ノーペイ」、首切り、組合分裂を策動し工場閉鎖をちらつかせた。 これに対し日産労組は生産再開と就労闘争で対抗しようとするが、会社側の要求を受け入れ争議は敗北。争議中に解雇された益田だが、戦前の入社時に日産創業者・鮎川義介の寵愛を受けた人でもある。 五月書房のシリーズ「労働運動パンフレット」の一つ。定価40円。

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